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【読書感想】川上弘美さん著「溺レる」(女流文学賞、伊藤整文学賞)溺れたがってる魅力的な女性像が独特たまらない

川上弘美さんの短編集。入っている作品は全て「溺レる」がテーマになってる。

 

入ってるのは以下の短編8話。どれも短い。

 

さやさや/溺レる /亀が鳴く/可哀想/七面鳥が/百年/神虫/無明

 

すごくおもしろかった。

 

川上弘美さんワールドの女性は独特なかわいらしさがある。基本的に"つまらない女"のはずなんだけど魅力的。男性との会話はとてもやさしい。でもそのやさしさはある種のあきらめというか無気力というか、そんなところから出てきてる。魅力的じゃないはずなんだけど魅力的に感じるという不思議な世界。ぼくは大好き。

 

怖いから溺れたい→見たくないものから逃げるために溺れたことにしたい

 

一貫してこんなことが描かれてる。ぼくも溺れたい。だからものすごく共感できた。

 

一番おもしろかった話は、本のタイトルにもなってる「溺レる」かな。

「今すぐアイヨクにオボレよう」とか「リフジンなものからはね、逃げなければいけませんよ」みたいに、カタカナを多用していて、なんとも言えない世界に連れて行ってくれる。この話の女性主人公がぼくは一番好きになりました。

 

でもこの本は一話だけじゃなくて全部で独特な世界を味わえる本。全話個人名がカタカナになっていて、それのおかげでちょっと現実感がなく、変なキャラクター設定を勝手にしないようにしてくれてる。カタカナって不思議な力を持ってる。

 

ぼくの体の一部がおもわずちょっと変化しちゃったのは「神虫」。女性が男性をかわいがってます。それが切なくてかわいいです。。

 

作品とは直接関係ない話…

文庫版の解説は評論家さんが書いていて、ご丁寧に分析しまくってくれてる。ちょっと興ざめ。言葉にしづらいまま味わうのがいいのに…って感じ。ぼくは小説家の方が書いてくれる解説のほうが好きだな。

 

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 とりあえず…

今日は生きるつもり。

 

 

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