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あうろーブログ

アウトローにもなれない41歳の男が今日生きるために書きます。思ったこと、たまに妄想しちゃったこと、読んでよかった本、洋楽まとめなど書いてます。アマチュアドラマー

【読書感想】ミシェル・ウエルベック著「ある島の可能性」ひきこもりをし続けることはできるのか?が描かれているすごくおもしろいSF長編小説

読書感想

こちらのブログ記事を拝見し、「読みたい!」という思いがつのり、読んだ。

 

unemployed.hatenablog.com

 

 

ミシェル・ウエルペック著「ある島の可能性

最近文庫版が発売された。

 

フランス人作家のSF小説

 

いや〜おもしろかった。 

 

村上春樹さんの「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」みたいな形式で、2つの物語が交互に進む。でも2つの物語の時間については違う。村上春樹さんのほうは同じ時間だけど、この本は現在と未来で時間軸が全く違う物語。 

 

男女の営みに関する表現が伏字なしでバンバン出てくる。すごいすごい。訳者さん女性じゃん。スゲー。

 

っていうのはどうでもよくて… 

 

人間とその進化系のネオヒューマンの物語。ネオヒューマンはひきこもりのような生活をしていて、自分の直接の祖先にあたる人物の人生がどんなだったか(いわゆる伝記)を見ていく。ネオヒューマンの生き方をし続けられるのか、それで幸せなのか?

という話。

 

"ひきこもりをし続けることはできるのか?"

 

という話。

 

お金、セックス、宗教などの実体験、そのときの人間の考え方や感じ方、特に苦しみが描かれている。いいときも悪いときもそれなりに苦しい。

 

そんな人間が進化して苦しみを排除した(はずの)、ひきこもりのネオヒューマンは苦しくないのか?

 

そんなことが描かれている。

 

翻訳ものは作者の熱を感じられないことが多いけど、この作品は違った。作者の「伝えたい!」という熱をひしひしと感じることができた。訳者さんの仕事がすごいということもあると思う。

 

いい意味で"ムムッ"とした部分をご紹介

僕は友人らしい友人をつくらなかった。逆に多くの友人を失った。人間に対する幻想をすっかり根こそぎにしてしまうようなことがあるとすれば、まさに、短期間に莫大な金を手に入れることだ。短期間に莫大な金を手に入れた人間は、自分の周りに偽善的な禿げ鷹が集まってくるのを目にする。迷いから覚めるためには、そうした大金を手に入れるのが一番だ。生まれついての金持ちで、それ以外の境遇を味わったことのない本物のお金持ちは、この現象に免疫を持っているようだ。彼らはその富とともに、ある種のシニシズムまでも知らず知らず受け継いでいるらしい。おかげで彼らは、自分に近づいてくるほとんどの人間の目的が、自分から金を巻き上げることにしかないことを、最初から知っている。だから彼らは慎重に行動する。そしてその財産をほとんど無償で保管する。貧しく生まれついた人間のほうが、状況は遥かに危険だ。結局、僕はというと、十分卑劣で、シニックで、分別があったので、ほとんどの罠をうまくかわすことができた。しかし友人はというと、一人も残っていない。

 

友人がいないとか少ないという孤独に関する話は共感を持ちやすい。でも文章によっては全然共感できなかったりする。この文章はぼくにはとってもしっくりきた。

 

嫉妬、性欲、生殖欲の根源はみな同じである。つまりそれらは存在する苦しみから生まれてくる。存在する苦しみの一時しのぎとして、人は他人を求めるのである。我々はこうした段階を超えなければいけない。そうしてはじめて、ただ存在するだけで、常に幸せという状態に達する。

 

孤独でも存在するだけで常に幸せって…できる気がしない。

 

 

この作品はSFの物語だから、部分を味わうより全体を味わうことで楽しむことができる(ある意味苦しむことができる)。 

海外文学やSFを普段読まない人も十二分に楽しめる作品だと思う。

 

後半の展開はとても惹きつけられて面白い。どうしようもない孤独を描いているけど、なぜか少し勇気をもらえる。お金や名誉などを持ったところでそんなことは瑣末なことだと言ってくれてるからなのかな?

 

最後に、あとがきにある訳者さんからのやさしいメッセージを引用。

ただ、もうどうにもウエルベックが苦手だという人に、ひとつ、ためしてもらいたいよみかたがある。読んでるうちにどうにもむかっ腹が立ってきたというとき、〈中略〉それがある特定の人物の、きわめて私的な物語なのだということを思い出してもらいたい。〈中略〉ここで語っている男は〈中略〉名前があって、顔があって、きわめて局所的な、私的な立場を持つひとりの人間なのだ、と。逆説的だが、実際、訳者は何度かこうして、物語のありありとした現場に復帰した。

 

ぼく、この訳者さん好き。

 

長いから読むのに時間使ったけど、全然後悔しないで済んだ。

いや〜おもしろかった。

 

海外文学まで手を広げると、読みたい本が多くなりすぎて「どーすりゃいいの!」となってるのが、もっかの悩み(笑)

 

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とりあえず…

今日は生きるつもり。

 

 

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