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「その問題、経済学で解決できます。」堅苦しくなくて明るい気持ちになれる行動経済学の本

「その問題、経済学で解決できます。」

ウリ・ニーズィー/ジョン・A.リスト(著)

 

内容(「BOOK」データベースより)

子どもの成績を上げたいとき、あなたならどうするだろうか?実は、ご褒美をあげるだけでは不十分。ご褒美を渡すタイミングや種類によって、結果は全然違ってくる。本書では、最先端の行動経済学者が、実地実験という最強の武器で、人をやる気にさせるものは何か、人はインセンティヴにどう反応するかを解き明かす。意思決定の奥深くをあぶり出し、ビジネスの現場にも差別や格差という大問題にも解決策を出す画期的な一冊!

内容(Amazonより一部抜粋)

ノーベル経済学賞最右翼!
行動経済学ここに極まる!
「この50年で最大のイノベーションだ!」(『ヤバい経済学』著者レヴィット教授) 

 

 

堅苦しくなくておもしろい行動経済学の本だった。

 

まずはインセンティブ(ご褒美や罰金)の効果についての逸話(有名な話らしい)。  

 

幼稚園の園長先生は定刻までに子どもを迎えに来ない親御さんがいるのにいらだち、迎えに来るのが遅れたら少額の罰金を取ることにした。やってみると罰金は逆のインセンティヴの働きをした。罰金で値段 ー 先生や職員にかける迷惑の値段 ー が決まったからだ。そして値段はとても安かった。それまで、親御さんたちは遅れると罪の意識を感じていたかもしれない。でも罰金が導入されると、そもそも時間どおりに迎えに行くなんてまったくアホくさいと思うようになった。
<中略>
お金は効く。でもちゃんとやらないと効かない。 

 

ぼくは消費者側の立場で物事を考える(ことしかできない)タイプなので、親御さんの身になって考えてみた。

うん。たしかに罰金決めてもらったほうが助かる。「そろそろやばいかな? だいぶ怒ってるかな?」みたいな不安のほうが効くもんね。ぼくがプライベートでも遅刻をしないタイプなのは、これのせいかも。だぶんそうだな…

 

続いて男女の違いについて。この話しはおもしろかった。もともとの性質と考えられていることが実は後天的なもの(文化的な刷り込み)だったという話。

女性上位(母系社会)のカーシ族という民族の実態を調査した結果として、「男性のほうが競争に対して前向き」といった傾向が、母系社会では男女逆になっていることを示している。

女の子は、おままごとや砂遊びといったことが好きになりがちだ。だけどそれは周りの人達がそう求めてるからのようだ。たしかに周りの期待に応えたいという欲求は子どもの頃から持ってるから、そうなるのかもしれない。

 

女性たちがトマトを値切るのを眺めているとき、ぼくたちはアメリカの女性たちが競争の厳しい仕事に応募したり昇給を求めたりしないことに思いをはせていた。女性にはできることを全部やらせない西側社会の構造的問題のことを考えていた。そして女性が仕切る市場には揉め事が少ないのを見ながら、ののしりあいとスタンドプレイが定番になっているアメリカの国会が頭に浮かんでいた。

 それでは、女性や女の子にもっと競争力を身につけ、稼ぐ力を高めてほしいと思っているとして、それを実現するにはぼくたちは何を変えればいいんだろう? そしてそれはぼくたちの娘たちやあなたのお嬢さんにとってどんな意味を持つんだろう?

 

大人の世界(会社のようなところ)では、「女性はめんどくさい」「女性だと気を使うから一緒に働きたくない」という話をよく耳にする。それは男性を中心とした社会に住んでいる人間の偏見なのかもしれない。

一部引用だと伝わりにくいけど、この本を読んでつくづく「ぼくは偏見を持ってるんだな」と感じた。心の中で「男女平等の社会なんて無理じゃない?」と思っていたけど、それはどうも間違っているなとわりと本気で思えた。

 

そして、ぼくが若い頃ずっと耳にしていた「アメリカは進んでいる。女性が活躍している。」という話。全然違うみたいだ。アメリカも十分に父系社会で女性が活躍できない社会だと書いてある。残念だけど、同じような仕組みなんだからそりゃそうなるんだろう。

 

美人はすごい力を持っているらしい。

 

 興味深いことに、宝くじの要素を加えると、寄付を募るだけの場合よりも、寄付の総額はだいたい50%ほども増えた(ぼくたちはこれを宝くじ効果と名づけた)。

<中略>

 また、さもありなん、という発見が他にもあった。寄付を頼みに来る人が美しければ美しいほど、集まる寄付は大きくなる。ぼくたちはこれを「美形効果」と名づけた。

<中略>

 ぼくたちにとって興味深かったのは、美形効果が存在するということそのものではなかった。美形効果の大きさだった。美形効果は宝くじ効果に匹敵するぐらいの大きさだったのだ。

 

これを読んでぼくが思ったのは…

意外と対価をもらえてない美人ってたくさんいるということ。

普通に会社員で安月給で働いている美人ってたくさんいると思う。

それも幼いころに植え付けられた考えのせいなのかもしれない。

 

☆ ☆ ☆

 

最後に力強く素敵なメッセージをご紹介。

 

 ぼくたちは社会全体として、教育や差別、貧困、健康、性別間の公平、環境、その他たくさんの分野に横たわる、大きくて根強い問題との戦いで、大きな進歩を遂げられていないのはなぜか、この本で繰り返し繰り返し書いてきた。それはぼくたちが、力を合わせて思い込みを捨てる努力を、まだちゃんとやっていないからだ。
<中略>
 でも、ジョン・レノンの言葉を借りるなら、想ってみよう、別の道もあるんだって。

 

この本は文化的な要素による思い込み、偏見といったものを取り払ってくれる力を持っていると思う。

そして、「解決できそうもない」と思い込んでいた男女格差の問題とかが「解決できそう」と思える。

明るい気持ちになれる本だ。

 

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とりあえず…

今日は生きるつもり。

 

 

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