【読書感想】太宰治さん著「人間失格」今になって共感できる「金の切れ目が縁の切れ目」
ぼくは転職を何度か繰り返し、とうとう力尽きた。
そして自営業の道を模索しつつ妻の稼ぎに頼った。
そして逃げ出した。
☆ ☆ ☆
弱っているときは、弱い人を書いた本が読みたくなる。
今になってこの小説に書かれている「金の切れ目が縁の切れ目」に深く共感した。
引用する。
「金の切れめが縁の切れめ、ってのはね、あれはね、解釈が逆なんだ。金が無くなると女にふられるって意味、じゃあ無いんだ。男に金が無くなると、男は、ただおのずから意気銷沈して、ダメになり、笑う声にも力が無く、そうして、妙にひがんだりなんかしてね、ついには破れかぶれになり、男のほうから女を振る、半狂乱になって振って振って振り抜くという意味なんだね、金沢大辞林という本に依ればね、可哀そうに。僕にも、その気持わかるがね」
<中略>「金の切れめが縁の切れめ、なんておっしゃって、冗談かと思うていたら、本気か。来てくれないのだもの。ややこしい切れめやな。うちが、かせいであげても、だめか」「だめ」
「お金が、ほしいな」
「……いくら位?」
「たくさん。……金の切れ目が、縁の切れ目、って、本当の事だよ」
「ばからしい。そんな、古くさい、……」
「そう? しかし、君には、わからないんだ。このままでは、僕は、逃げる事になるかも知れない」
「いったい、どっちが貧乏なのよ。そうして、どっちが逃げるのよ。へんねえ」
「自分でかせいで、そのお金で、お酒、いや、煙草を買いたい。絵だって僕は、堀木なんかより、ずっと上手なつもりなんだ」
わかる!
まさにそのとおり!
この小説が多くの人に読まれて評価されているってことは、ぼく以外にも同じような人がたくさんいるってことだよね。
きっと…
太宰治に共感しても救われる気はしないけど、ほんの少しだけ楽になれる気がする。
でも太宰治って一生苦しんでたみたい…
幸せになるバイブルにはならないな(笑)
〈おまけ〉
太宰治で一番好きな作品は「斜陽」です。
冒頭の美しさっていったらもう…言葉で解説しちゃダメです。
とりあえず…
今日は生きるつもり。
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