【読書感想】本谷有希子さん著「異類婚姻譚」(芥川賞受賞作)苦しみから逃れたいと切に願う人間のありようを描いていて、とても共感できた
つい最近の芥川賞受賞作
シンプルな文章でとっても読みやすい作品。だけど内容というかテーマはしんどい。
夫婦の顔がだんだん似ていってしまうという話。最後どうなるかは読んでのお楽しみとして…
説話、寓話、童話といったいわゆる「おはなし」の形なので、いろんな解釈ができそう。その分、読後感はすっきりせずモヤモヤ感が残る。
そのモヤモヤ感がいい。小説でないと味わえないもん。
しかしラストは切ない。ぼくはすごく切なく感じた。「えー そうなるのー そうはならないでほしいんだけどー」って感じ。
ちなみに宮本輝さんの選評では
読み終えて、なんだかほっこりとした感情を呼び起こすのが不思議だ。
と書いてある。
ぼくと全然違うけど、そういうのも含めてこの作品の魅力だと思う。
だって読後感が違ったとしても、"おもしろい"のは共通だもん。
おもしろくて一気読みだったもん。
途中にある、旦那さんが揚げ物をつくるシーンは圧巻。ゾクゾクした。
他人を受け入れること
自分が自分でなくなること
どこまでも楽になりたいという欲求
そんなことを考えたり感じたりしている人は、この作品をすごく楽しめると思う。
本文より引用
「家じゃなんにも考えたくないって男の気持ちがわかんだいんだよなあ。」
「何をそんなに考えたくないの?」
<中略>
「そういう質問の答えをねえ、考えるのも、やなの。もー、やらないんだったら返して。
「ほらね、サンちゃん。サンちゃんが俺としたい話なんて、本当はないんじゃないの。」
<中略>
「サンちゃんも俺とおんなじでしょ。本当は何も考えたくないのに、考えるふりなんかしなくって、いいじゃない。」と言った。
「俺もサンちゃんも大事なことに向きあいたくなんかないの。だから俺、サンちゃんといると楽なんだから。」
それは違う。そう言い返したいが、声が出ない。
ピンときた方。楽しめると思いますよ。
Amazonのレビュー、読んだあとに見てみたけど結構ひどい…
先にレビュー読まなくてよかった(苦笑)
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とりあえず…
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