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【読書感想】小川洋子さん著「妊娠カレンダー」(芥川賞)に入っている別の作品「ドミトリイ」がホラー要素があってめちゃくちゃおもしろい

小川洋子さん著「妊娠カレンダー」

表題作の短編「妊娠カレンダー」が芥川賞受賞作。

それ以外に短編2つ「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」が入っている。

Kindle楽天、honto、3つとも電子書籍がある。

 

もちろん芥川賞受賞作もおもしろかったけど…

そんなことより…

 

「ドミトリイ」という別の作品がめちゃくちゃおもしろかった!

 

なんか、ホラー的な要素もあるし、途中は推理小説っぽい雰囲気もあって、でも純文学のにおいもプンプンして… 

 

なんだこれは!?って感じ。

 

女性主人公(おそらく20代後半〜30代前半くらいの既婚者、夫が海外赴任で一時的に一人暮らし)が、大学に入学する従兄弟に、自分が昔住んでた学生寮(ドミトリイ)を紹介する。

 

というだけの話なんだけど、そのドミトリイに秘密というかいろいろ意味深なところがある。その内容を言っちゃうとネタバレで楽しみがなくなっちゃうから言わない。

 

う〜ん。この作品をネタバレなしで感想書くのはしんどいな。

 

チラッとだけドミトリイの意味深な予告を引用でご紹介。

先生(管理人)が主人公に、昔とドミトリイの状況が変わってることを説明している場面。

「そう、その通りです。こういう具体的な変化自体は、何の意味も持っていない。今喋ったことは、わたしがあなたに本当に伝えなければならないことの一番外側にある、頭蓋骨みないなものです。問題の本質は、大脳の奥の松果体の奥の髄に隠されているのです」

先生は言葉を選びながら慎重に喋った。

 

「この先どう展開するのよ?」と楽しみになる場面。この引用だけじゃ伝わらないと思うけど…

 

作品全体が描いていることは、こんなことだとぼくは思う。

"ふだん見えないけどすぐ隣りに別世界がある。しかもその世界はちょっとこわい。その世界はどこにあるかよくわからないけど、実は人間の心の中にあるのかも。"

 

結末は短編小説ならではの「えっ、これで終わり!? ムズムズしちゃうんだけど」って感じ。このムズムズする余韻がぼくは好き。

 

読み終わったあとAmazonのレビュー見てみたら、この「ドミトリイ」がいいって書いてる方が何人かいらっしゃった。 やっぱりね。

 

"好きな作家さんの好きな作品は、意外と賞をとってない作品"という実例がまた増えた。

 

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とりあえず…

今日は生きるつもり。

 

 

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