【読書感想】竹中平蔵さん著「経済古典は役に立つ」普通の人は雇われて働くんだなあと実感する本
竹中平蔵さん著「経済古典は役に立つ」
電子書籍化されてる。
竹中平蔵さんの持論ではなく、過去から現在までの著名な経済学者の考えをわかりやすく紹介してくれている。とっても読みやすい。
産業革命以降の資本主義の歴史をざざっと知れる。てっとり早く「アダム・スミスって誰だ」「ケインズって誰だ」「フリードマンって誰だ」「資本主義ってどうなってるんだ」とか知りたい方にはうってつけの本だと思う。
読み終えて感じたのは、「普通の人は雇われて働くんだなあ」ということ。
アダム・スミスを紹介している章より
また、社会の秩序という解決すべき問題にとって、労働が富の源泉であるという考え方と、分業によって経済が発展するという考え方はきわめて重要な意味を持ってくる。分業の進展によって、所得の低い最下層の人々まで仕事が行き渡り、彼らはそれなりに豊かになっていく。その結果として、社会全体の秩序がある程度保たれるからである。
未来はともかくとして、現在までの資本主義社会では、大多数の人が分業で働くことで成り立っている。精神論ではなくて実態としてそうなんだから認めるしかない。雇われない働き方を目指す目指さないといった話ではない。実際に雇われて分業の一旦を担うことで富を得ている人が大半という事実が書かれている。
ぼくも分業のおかげで富を得ている。(給料をもらって食べていけてる。今のところ…)
資本主義の恩恵にあずかっているってこと。
この本には他にもいろいろおもしろいことが書かれている。
J・M・ケインズを紹介している章より
要するに、「参加者全員の平均的な選好に最も近い選択をした人に賞品が与えられる」という美人コンテストでは、だれがいちばん美しいかが重要なのではなく、他のみんながどう考えているかが問題だということである。容易にわかるように、これは為替投機の話にあてはまる。円ドルレートが1ドル=100円が適正なのか、それとも90円が適正なのか、ということはたいした問題ではない。他の市場参加者が1ドル=100円と思っているのか、それとも1ドル=90円と思っているか、それを当てることが重要だということである。最適な為替相場がいくらなのかを議論するのは経済学者の役割であるが、為替市場の参加者にとっては、みんなが何円なら適切だと思っているかを当てることが重要なのである。
よく「本質を見極めろ」とか言われる。
本質って「他のみんながどう考えているか」ということなのかもしれない。少なくとも経済の世界のいちプレイヤーとしては。
シュムペーターを紹介している章より
たとえば、iPadという商品が供給されたから私たちはそれを欲しいと思うのであって、私たちが欲しいと言ってiPadが売り出されたわけではない。このように、新しいイノベーションはじつは供給側から出てくることをシュムペーターが強調している点は興味深い。
そりゃそうだ。言われると当たり前に思うけど、ぼくは普段「自分たちが欲しいと思ってるものは売れる」みたいな考えにとらわれている気がする。それじゃあ起業家にはなれないだろう。
あとがきより
とりわけ、低成長、デフレ、財政赤字など、世界の経済問題をすべて背負い込んだ日本のかじ取りに、世界は注目している。世界は今、存在感の低下した日本を無視しているようでありながら、実は悪循環からどのように抜け出すかに注目している。
どこかで「日本は世界に先がけて高齢化社会をむかえるから世界が注目している」って読んだか聞いたのを覚えてる。だからこれは納得。
注目されてる感じがしないのは、ぼくが鈍感ってことなのかな?
教養として、読んで損はない本だと思う。
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