【読書感想】まもなく上映 桃井かおり監督主演の原作 中村文則さん著「銃」に入ってる別の作品「火」という短編がおもしろい
中村文則さん著「銃」
内容(「BOOK」データベースより)
雨が降りしきる河原で大学生の西川が出会った動かなくなっていた男、その傍らに落ちていた黒い物体。圧倒的な美しさと存在感を持つ「銃」に魅せられた彼はやがて、「私はいつか拳銃を撃つ」という確信を持つようになるのだが…。TVで流れる事件のニュース、突然の刑事の訪問―次第に追いつめられて行く中、西川が下した決断とは?新潮新人賞を受賞した衝撃のデビュー作。単行本未収録小説「火」を併録。
この文庫本に入っている「火」という短編がすごくおもしろい。
昔放火をしたという娼婦が、精神科医に一方的に独白してるだけの短編。
独白という形式の短編はそんなに珍しくないけど、この作品は生々しくて、主人公の心の痛みが我がことのように伝わってきて、すごくしんどい。
ちょっとサスペンスの要素も入れてくれているので、読み始めたら、つらいけど途中ではやめられないという憎い作品。
生まれたときから悪い環境にいて、その悪いサイクルから逃れられない人間のつらさ、弱さが描かれている。
ぼくはこんな波乱万丈な人生は送ってないけど、一旦悪いサイクルに入るとなかなかそこから抜け出せないというのは痛感してるので、この作品には共感しまくった。
暗くてつらいけど共感という救いをもらえる。
この作品が原作の映画が来月公開される。桃井かおり監督主演。
原作はとても短いので、だいぶ肉付けしてあるんだろうけど、おもしろそうだ。
ちなみに、新潮新人賞を取ったデビュー作「銃」も、もちろんおもしろい。
ぼくは、主人公の男が簡単に女性と寝れてしまうという設定に嫉妬しまい、その邪念のせいで物語にハマりきれなかったのがもったいなかった…
中村文則さんの作品を読むと、暗い文学もいいなあと思える。
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