【読書感想】川上弘美さん著「ハヅキさんのこと」エッセイ風の超短編で気軽にやさしい世界を味わえます
短編集。原稿用紙10枚程度のすごく短い話が23話。あとがきによると、もともとエッセイの依頼だったが上手く書けず、エッセイの体裁をとった小説にしたら、このスタイルが上手くハマったとのこと。
ぼくは川上弘美さんの文章がすっかり好きになっているので、これも当然おもしろく読めた。
この本では擬人化した動物(しゃべる熊とか)のような非現実的な道具は使われず、現実にありそうな人生の一瞬を切り取った物語が並んでる。
「ネオンサイン」より
中途半端。それが今の私の感じにいちばん近い言葉である。思えば十年前の誕生日も二十年前の誕生日も、いつだってわたしは中途半端だった。四十八になった今朝も、それは変わらない。
わかるーって感じ。特に今のぼくは自分が中途半端だと思ってるので、すんごく共感できる。やっぱりこう思ってるのは自分だけじゃないんだな。うんうん。
「むかしむかし」より
むかしむかし、とあたしはつぶやいた。むかしむかし。あたしは、しあわせでした。おしまい。
この本の中で一番好きな作品「むかしむかし」からの引用。好きが好きじゃなくなること、時間が何かを変えてしまう切なさを描いてる。
そうなんだよーって感じ。変わってしまったことはどうにもできない。"おしまい"って蓋をするしかない。
こんな感じでいちいち共感して楽しめる本。
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